特定名称酒について
清酒のラベルに「大吟醸酒」や「純米酒」といった表記をよく見かけます。
これは米の削り具合と醸造アルコール、その他特別な作り方をしている酒について冠することができる等級を表しています。
製品の等級付けについて
国税庁による定め(酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達 第86条の6 酒類の表示の基準)として
「消費者利益保護の観点から、名称を付けるにあたり規定を設ける。」
としており、規定に達していれば「表示する権利」を得るものなので、表示する・しないはメーカーに一任されます。
とは言っても、せっかくの付加価値なので、どこの醸造元も利用できる範囲で良質と分かるものを使用しています。
共通した条件は下の4項目で、条件に沿って細分化したものが下の表になります。
- 使用する米は農産物検査法で3等以上と格付けされた玄米であること
- 麹米(こうじまい:米麹の製造に使用する米)を白米の重量に対し15%以上使用すること
- 原材料と隣接するところに精米歩合を1%刻みでラベルに表示すること
- 醸造アルコールの添加はアルコール分95%換算で、白米重量の10%未満であること
アルコール添加 無 | アルコール添加 有 かつ、低温長期醗酵 |
アルコール添加 有 醗酵温度は普通 |
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精米歩合100%以下 (玄米) |
純米酒 | ||
精米歩合90%以下 (内側90%を使用) |
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精米歩合80%以下 (内側80%を使用) |
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精米歩合70%以下 (内側70%を使用) |
本醸造酒 | ||
精米歩合60%以下 (内側60%を使用) |
純米吟醸酒 | 吟醸酒 | |
精米歩合50%以下 (内側50%を使用) |
純米大吟醸酒 | 大吟醸酒 |
純米酒系統について
純米酒系統については原材料が米と米麹、水だけと一番シンプルな表記です。
一番基本的なものが「純米酒」
精米歩合が60%以下の純米酒なら「純米吟醸酒」
精米歩合が50%以下の純米酒なら「純米大吟醸酒」と呼んでも良いとされています。
精米歩合50%の「純米酒」という表現も可能です。
吟醸酒系統について
吟醸酒系統については純米酒系統の作り方に対し、低温で長期醗酵(吟醸造り)していることと、醸造アルコールの添加があることが特徴です。
「低い精米歩合」と「吟醸造り」、この2点が吟醸香と呼ばれる果物の香りをまとったお酒を造る秘訣であり、「醸造アルコール」はこの特別な香りを付けやすくする効果をもっています。
精米歩合が60%以下でこの造り方をすると「吟醸酒」
精米歩合が50%以下の吟醸酒は「大吟醸酒」と呼んでも良いとされています。
ちなみに精米歩合61%以上でこの造り方をすると付加価値が付かず、「普通酒」の扱いとなってしまいます。
本醸造酒について
本醸造酒は精米歩合70%以下の純米酒に醸造アルコールを加えたものと捉えていただければ結構です。
純米酒に比べ、後味が少し軽快になります。
表には載せていませんが、「特別純米酒」「特別本醸造酒」という区分もあります。
特別純米酒は精米歩合60%以下の純米酒、特別本醸造酒は精米歩合60%以下の本醸造酒であることに加え、使用原料や製造方法など”何が特別なのか”を具体的にラベルに記載しなければなりません。
糠部分について
精米した後の製造に使わない部分は“産業廃棄物”として捨てるのではなく、精米歩合の表記が必要ない普通酒へと転用して使う他、米粉などの”副産物”として形を変え、煎餅や餅へと利用されています。
しかしながら、良い品質の清酒製造を行うにあたっては不要の部分であることには代わりありませんので便宜上「廃棄」という表現を使用しています。
精米歩合の低いお酒は米を削る量が多いため、”食べられるものを捨てている”と捕らえて敬遠される方もいらっしゃいますが、再利用先もありますのでどうぞ安心してお買い求め下さい。