酒造りの工程

酒造りの工程を写真付きで解説

清酒は米を糖化させてから醗酵させるというカラクリについては簡易版で説明しました。
ここでは製造工程をさらに細分化して作業風景の写真と作業の目的を解説します。

1 原料米の準備 1_1 玄米の仕入
1_2 精米(搗精)
1_3 枯らし
2 蒸米を作る 2_1洗米
2_2 浸漬
2_3 蒸し
3 米麹を作る 3_1 種付け
3_2 保温
3_3 切り返し
3_4 冷蔵庫で低温管理
4 酒母作り 4_1 水麹作り
4_2 酒母作り
4_3 掛け米(段仕込)
5 醗酵 5_1 醗酵
5_2 櫂入れ
5_3 アルコール添加
6 完成 6_1 上槽
6_2 滓引き
6_3 濾過
6_4 火入れ(1回目)
6_5 貯蔵
6_6 滓下げ
6_7 割水
6_8 火入れ(2回目)
6_9 瓶詰

 

1 原料米の準備

玄米を購入してから精米まで

1_1 玄米の仕入

まずは原料となる米の下準備です。

製造目標に十分な量の米を用意します。

当社が特定名称酒を造るときは、目標とする酒の重量の半分近く(1.8Lなら800g)の米を用意します。


1_2 精米(搗精)

当社はこの作業を外部に委託しているため画像がありませんが、玄米の外側を削ります。

この作業を搗精(とうせい)と呼びます。

この時点で特定名称酒(大吟醸や純米吟醸と呼ばれる冠のこと)のある程度のランクが決まります。

精米についてはこちらの別ページをご覧下さい。

特定名称酒についてはこちらの別ページをご覧下さい。


1_3 枯らし
白米の写真

精米

搗精したばかりの米は削った際の摩擦熱で熱を持っています。

このままでは今後の作業に支障が出るので、2~3週間程度常温で保管しながら放熱させる期間のことを「枯らし」と言います。


2 蒸米を作る

生米は硬くて菌が入り込み難いので、米を蒸して軟らかくします。

2_1 洗米
洗米の様子

洗米

搗精でついた削りカスを洗い落とします。


2_2 浸漬
浸漬の様子

浸漬

米に水を吸わせる作業です。

水を十分に吸っていない米はやわらかくならないのでコウジカビが糖化しにくく、かといって水を吸わせ過ぎるとベチャベチャの米になり、青カビ等が紛れて腐らせてしまい、酒造りに適さない米になってしまいます。

その年の米の生育や当日の環境によって水分の吸収具合が変わるので、微妙に時間を変えて調整する繊細な作業です。


2_3 蒸し
蒸米の様子

蒸し上がった米を取り出しているところ

蔵人言葉で蒸きょう(じょうきょう:「きょう」は「食強」と書く)と呼びます。

「炊いた米」と「蒸した米」の違いは出来上がりの米の水分量の違いです。
蒸した米の方が水分が適度に少なく、コウジカビの活動に適しています。

甑(こしき)と呼ばれる大きな蒸篭の様な蒸し器で米を蒸します。

その年の稲の生育や当日の温度・湿度により蒸し時間や圧力を変えます。


3 米麹を作る(蔵人言葉で『製麹(せいぎく)』と呼びます)

蒸しあがった米に麹菌をまぶし、米のデンプンをブドウ糖に分解させる作業です。

3_1 種付け

酒造りの映像で米に粉を降りかける風景を目にすることがよくありますね。
その映像はこの”種付け”と呼ばれる作業です。
粉に見えるものは麹菌で、米のデンプンをブドウ糖に分解する能力を持っています。

蒸し上がった米は熱く、そのまま麹菌を振りかけると菌が熱で死滅してしまうので、米を広げて30℃くらいまで冷ましてから麹菌を振り掛けます。

麹菌(コウジカビ)について

種付けの様子

蒸米の温度が下がったのを確認してからコウジカビをふりかける

蒸米の温度確認

蒸した米を広げて温度を下げる


3_2 保温

暖かい方がコウジカビの活動が活発になるので、広げた米を饅頭の様に丸めて保温します。

米に布団や毛布をかけ、温度・湿度を調整して、およそ半日放置します。

保温の様子

布の上から布団を掛け、室内の温度・湿度を調整する

蒸米を布で包む

かたまりにして布で包む


3_3 切り返し

米の表面にコウジカビが生えて増殖してくると、他の米へ菌糸を伸ばして団子状になろうとします。これをほぐして米を1粒1粒パラパラの状態にします。

切り返しの様子2

人の手で1粒1粒パラパラにほぐす

切り返しの様子1

ガチガチに固まっているので、道具を使ってほぐす

切り返しの様子3

パラパラの状態でさらに保温する

細かくほぐしたら、保温・保湿を継続しコウジカビの糖化を促進させます。

保温と切り返し作業を何回か繰り返すと菌糸は米の内側へと伸ばすようになり、
米の芯にある豊富なデンプンが糖化されるようになります。


3_4 冷蔵庫で低温管理

コウジカビの活動によって発熱するのである程度糖化が進んだら冷蔵庫に入れ、涼しい環境でコウジカビの活動を抑えつつ、次の作業で使用するまで管理します。

冷蔵庫で保管1

薄く広げて熱がこもらないようにする

冷蔵庫で保管2

良く見ると米の表面がところどころ白くなっている(破精)


4 酒母作り(しゅぼづくり)

醗酵の元となる酵母の培養から仕込まで
酒母は別名:酛(もと)とも呼ばれ、「酒の元」・「酒の母」と名前通りアルコール醗酵の基礎部分となります。

4_1 水麹作り(みずこうじづくり)

米麹を仕込水に投入し、米麹に残っている糖化酵素を仕込水に溶かします。

コウジカビは好気性と呼ばれる菌で、酸素のある環境でしか増殖できず、この段階以降コウジカビの活動は止まり、製麹作りの間に放出された糖化酵素がひたすらデンプンを糖に分解していきます。


4_2 酒母作り(しゅぼづくり)

いよいよ酒を作る酵母の登場です。

水麹に蒸米と酵母、乳酸を加えます。

また、酵母が投入されたこのタイミングから、簡易版でも説明した

米(デンプン)を糖化→米(ブドウ糖)、
米(ブドウ糖)を醗酵→酒(アルコール)

という図式になります。

この2種類の現象が同一容器内で同時に行われることを「並行複醗酵(へいこうふくはっこう)」と呼び、酵母の活動に適しているので20度近い高濃度のアルコールが生成できるようになります。

酒母の様子2

元気に増殖している

酒母の様子

酒母の様子


4_3 掛け米(段仕込)

しっかりと酵母が培養された酒母を大きな醗酵タンクへ移し、「蒸米」「米麹」を複数回に分けて投入することで酵母を段階ごとに増殖させます。

一般的には3回に分けて投入し、また仕込の回数に応じて三段仕込・四段仕込などと呼ばれて製品の名前に出てくることもあります。

詳しくはこちらの別ページをご覧下さい。


5 醗酵

5_1 醗酵
発酵の様子

左側に米、右側に酵母が発酵に出す二酸化炭素の泡が見える

材料を一通りタンクに投入したこの状態を醪(もろみ)と呼び、お酒になるまでタンクで醗酵させます。

タンク内の温度を上げ下げすることで醗酵の具合を増進させたり減退させたりします。


5_2 櫂入れ

櫂(かい)とは道具のことで、柄の一端にT字型に板のついた棒をそう呼び、これを使ってタンクの中を掻き混ぜ、攪拌させる作業です。


5_3 アルコール添加

名称通り醪に醸造アルコールを投入します。

この作業は行わない製造もあります。


6 完成

搾りから瓶詰まで

6_1 上槽(じょうそう/あげふね)

醪を清酒と酒粕に分ける作業です。

以降の説明は酒粕を省いた生酒の加工です。


6_2 滓引き(おりびき)

絞り終わったばかりの酒は溶けた米の微粒子などが多く浮遊しています。これらを滓(おり)と呼び、残存させたままにしておくと質が悪化するので1日かけて沈殿させて取り除きます。


6_3 濾過

滓引きで取りきれなかった微粒子を濾過機に通して取り除く作業です。


6_4 火入れ(1回目)

残存する酵母や酵素の失活・殺菌を目的とした加熱です。

この時点でも酵母や酵素が活動(醗酵)を続けており、貯蔵している間に杜氏が目標としている酒質から大きく変質してしまうことがあるので、加熱して止めてしまいます。


6_5 貯蔵

酒としては完成していますが、まだ製成されたばかりのトゲトゲしさが残っています。

味に丸みを持たせ、風味を良くするためにタンクで貯蔵します。

貯蔵期間はおよそ半年程度です。


6_6 滓下げ(おりさげ)

まだ清酒の中には酵素が溶けた状態で存在しています。後述の火入れ(2回目)の加熱によって白く変色することもあり、それを防ぐために取り除く作業を滓下げと呼びます。


6_7 割水

原酒のままでは酒のアルコール度数が高く飲みにくいので、酒に水を入れて飲みやすい濃度まで薄めます。


6_8 火入れ(2回目)

1回目と目的が異なり、火落ち菌と呼ばれる雑菌を死滅させるために行います。

この雑菌は普段から空気中に漂っていて体内に取り込んでも害はありませんが、清酒に混入すると酒が混濁し、著しく風味が劣化します。


6_9 瓶詰

洗った瓶に酒を詰め、密封をして出荷します。

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